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![]() LONGINESの懐中時計です。 シリアルから1932年製と思われます。ケース、ムーブメント、文字板に 社名が入るトリプルサイン、ケース、ムーブメントに同一のシリアル刻印 が有る個体ですので、販売当時のオリジナルと思います。 最近の方はロンジン?見たいな感じでしょうが、かつてロンジンは名実共に最高級品 の代名詞だったのです。ロンジンが低迷し、格が落ち始めたのはクォーツショック以降 の事であり、おいそれと手を出せないマニュファクチュールでした。 往年のロンジンは懐中時計、腕時計共に大変な価値が認められています。 私くらいの世代ですと、ロンジンと言えば「リンドバーグ」でしたね…。 |
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![]() 文字板(ダイアル)はアラビアインデックス、筆記体の社名。 ダブルサンク仕様です。 ダブルサンクとは文字板が平面ではなく、段差を設けて立体感を持たせたもので、 秒針(スモールセコンド)部分のみの物をシングルサンク、時間部分にも段差が有る ものをダブルサンクといいます。 当然手間が掛かるので価格はダブルサンク(高)⇒シングルサンク⇒無し(安) となります。 針は時分針、秒針共にブルースチールです。 |
![]() ケースは標準的な普及品の合金メッキのプレーンケースで、特筆するような事は有りません。 あえて言えば、ガラス側はスナップで、裏面はヒンジ式の2重蓋です。 時代的にもレバーセット時代の名残であるガラス面もヒンジ式のケースから決別 した感が有ります。 ケースの裏蓋のロンジンの刻印(有翼の砂時計) |
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ムーブメントは1889年から製造されているCal.18.49の系統を引くCal.18.49Nです。
(18.49と18.49Nは脱進機や輪列が逆向きで、ある意味まったく別のムーブメントとも
思えるが…)
コート・ド・ジュネーブ仕上げ、15石の標準的なムーブメントですが、一時期のロンジン
の特徴ともいえるカタツムリ型のブリッジで3・4番を押さえています。
ブリッジプレートは全て面取りされており、受石は大粒のルビーをシャトン留め。
脱進機はブレゲひげ、バイメタルチラネジ付き切りテンプ、アンクルはクラブツース型ではなく、
イングリッシュレバーの様に横向きに爪石が有るタイプで、バランサー付きです。
粗調整、微調整用の2重緩急針(当時は特許取得機構らしい)
一応バランサー付きアンクルなので、普及品よりはちょっと高級志向かな…
とは思います。
同じ18.49Nという型式を持つムーブメントでも、アンクルが違うなどいくつか
バリエーションがあるようです。(クラブツースアンクルの仕様などがみられる) この時代のロンジンのムーブメントは初めてバラしましたが、創意工夫があって 流石だな〜というのが正直な感想です。特に感心したのがゼンマイ開放機能です。 脱進機や輪列などに故障が発生した場合、巻き残っているゼンマイを開放しないと 分解出来ません。(バチっと弾けて他に損傷が及んでしまう) ゼンマイの開放は多くの場合、ゼンマイを収めている香箱の回転を規制している コハゼを動かしてゼンマイを開放しますが、ロンジンは偏心ネジを回すことで コハゼを解除してゼンマイを開放できる仕組みを搭載しています。 整備性を考慮した大変便利な機構です。 この機構を実現する為に、アームスプリング式のコハゼをブリッジプレート 側に搭載しています。長いスプリングがクロノグラフなどの複雑時計を思わせ、 クロノグラフで勇名を馳せたロンジンらしい感じがします。 でもこれ、この仕組みに気付けないと、どうやってゼンマイ開放するのか まったく分からない…。何しろ角丸車も角丸車もブリッジの下でアクセス不可、 最後は「えいやっ!」ってブリッジ外すしかない… 私もこの矢印が付いたネジが気になって、分解前に何の矢印か調べて気が付いたのです。 左写真の赤丸の矢印が付いているネジを竜頭を押さえながら矢印方向に回すと コハゼが解除され、ゼンマイを開放できる。めっちゃ便利(笑) |
![]() 分解、オーバーホール中 |
![]() 裏面(文字板側)はペラルージュ仕上げ |
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脱進機周りの動画です。 スマホのスロー撮影便利ですよね…目視で振りが確認できる!大変快調で、振りも充分です。(と言うか振りすぎか…) 右上にアンクルの延長上にあるバランサーが動いているのが見えます。 18000振動なので、テンプ5往復で1秒分です。 |
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