「西洋剃刀 shaving !! ・ 髭剃り」


Straight Razor (DEMMER、年代不明 SILVER STEEL製ブレードに彫刻入りのアルミ製ハンドル)


人類が髭などの体毛を剃るようになったのはかなり古い時代からの様で、(石器時代に作られた石器の剃刀が発掘されています。)
その頃より、より良く効率的に剃れる道具を目指して様々な創意工夫を凝らしてきました。
18世紀、その努力のひとつの回答とも言える刃物が、イギリスのシェフィールドで盛んになった良質な製鉄によりに大量生産
されるようになりました。それが所謂「西洋剃刀」「本レザー」等と呼ばれる、理髪店でおなじみの剃刀=ストレートレザーです。
西洋剃刀はドイツのゾーリンゲンなどでも盛んに作られ、世界中に広まり、安全剃刀が普及するまで髭剃りのスタンダードとして
活躍したのです。
しかし、扱いにはそれなりの訓練と熟達を必要とし、レベルの高い砥ぎ出し技術も必要な為、個人で使用すると言うよりは、
「髭は理髪店で剃ってもらうもの」と言うのが一般的な常識で、当然料金も頻繁に理髪店に行っても負担にならない程度に設定
されていたのです。
19世紀に入ると安全剃刀が発明され、一般に普及し始めます。家庭で簡単に髭剃りが出来るようになると、当然理髪店へ行く
回数も減っていきます。更にそれに拍車をかけるように、電気剃刀が登場し、理髪店での髭剃りは、散髪のオプション的存在へと
その意義を変えていったのです。特に80年代以降の電気剃刀や安全剃刀の進化は目覚しく、より簡単にスマートに髭を剃れる様に
なっていきました。



それでもつい十数年前までは、理髪店に行けば西洋剃刀で髭を剃ってくれましたが、現在は完全に絶滅危惧種になってしまい、
余程こだわりのあるお店にでも行かない限り、西洋剃刀を使用している所はなくなりました。
現在主流なのは一見西洋剃刀風の、替刃式の剃刀です。店によってはT字剃刀なんてところも…。
まぁ店側からすれば、それ程気を使わなくても常に新鮮な切れ味を刃の交換で維持できる替刃式の方が楽って事でしょうか。
衛生面での協会からの指導と言う事も有るようです。(ウィルスなどの感染予防ですね)



革砥またはレザーストラップなどと呼ばれている、剃刀用シャープナー。コードバンで作られています。
製作しているところが激減し、日本ではカノヤマコードバン専門店のみになってしまったそうです。
革砥で刃先を整えながら髭を剃る、あの懐かしい風景はすでに遠のいて久しいのです。ある程度の年齢の方は子供の頃の
「床屋さんごっこ」で、剃刀を砥ぐ仕草を必ず真似たはず。お父さんのベルトなんかを引っ張り出して来てね(笑)


さて、そんな西洋剃刀での髭剃りに憧れて、20代の頃に買い込んで腕を磨きました。なんて言える程上手くは無いですが
一応剃る事は出来るようになりました。最初の頃は顔を切りまくりました(汗…)もう血だらけ…で。
とにかく少しでも刃を水平に動かしたらスパッっといきます。頭では解っているのですが、手が付いてこない。
しかしこればかりはとにかく練習して体で覚えるしか上達の方法は無いと思います。後は理髪店で髭を剃っている最中に
どうやって剃っているか注意深く感じ取る事。皮膚を引っ張ったり、伸ばしたりと、以外に複雑なテクニックが必要です。


髭剃りに凝りだすと、これまた中々奥深い世界がそこに広がっている事に気が付きます。
特に海外では剃刀はコレクションとして成立しており、実際、デザインや機能などとても良い物があります。
作りそのものはとてもシンプルなので、大切に使えばそれこそ一生物、2代、3代と受け継ぐ事だって十分出来ると思います。
ただし実用には替刃式はあくまで刃が供給されている事が大前提になります。今日の安全剃刀のように目まぐるしく
モデルチェンジする事は無いですが…。
そこへいくと西洋剃刀は直刃なので、相当の寿命があり、砥ぐ技術さえ身につけていればそれこそ一生使う事が出来ます。
80年代くらいまでは、日本でも西洋剃刀の生産が行われ、日本刀を生み出した国らしく様々な工夫や技巧を凝らしたものが
存在しました。特に材質は日本刀のような玉鋼を使用したものや特殊な鋼を使用したものなど、良質な剃刀がありました。
また、日本古来の「日本剃刀」と呼ばれる剃刀があり、こちらも盛んに生産され関西を中心に愛用者は多かったようです。



ゾーリンゲン ヘンケルス(ツヴィリング)
ヘンケルスは良質な剃刀を供給していました。メーカーは現在もありますが、すでに剃刀の生産はしていないようで、残念…。
柄の部分にトレードマークの双子(ツヴィリングはドイツ語で双子)とヘンケルスが開発した特殊ステンレス鋼の名称である
フリオデュール「friodur」が象嵌してあります。(プリントじゃない所が拘ってます!)
(昔はSを発音せずヘンケルって言っていたと思うのですが、最近はヘンケルスみたいなので…)



コンケーブと呼ばれる、西洋剃刀を特徴付ける三角形のブレードの断面形状。この形状のおかげで、刃先が髭に当る衝撃を吸収し、
滑らかな剃り心地と、切れ味を出しているのだそう。髭は、同じ太さの黄銅線と同程度の硬さが有ると言われています。
(黄銅は5円玉の材料です)この硬さの物を切るのですから、刃先に掛かる負担も相当なもの。それをコントロールして刃先への
負担を最小限に抑えているのがコンケーブなのです。



その他ゾーリンゲンの剃刀
日本製にも良い物はあるのですが、刃物はゾーリンゲン!という洗礼を受けてしまった私は呪縛から抜け出せず…
ちなみに刃物3Sは、シェフィールド(英国)、ゾーリンゲン(独逸)、関(日本)と言われています。



どうですこの洒落た刻印! 槌振る鍛冶屋さんと相方。槌音が聞こえてきそうでしょ! こちらもゾーリンゲン製




謎の西洋剃刀! 「床屋の切欠き」等呼ばれる特殊な先端形状をしています。(先端に切欠きの様な窪みがあるのが判るかと思います)
特に国産品では稀な存在と言われています。しかも!目ざとい方はお気付きかと思いますが、これ、ヤマハのロゴが入ってます!!
刃の部分はプリントですが、身には打刻でも入っています。ヤマハが剃刀を作っていた?って聞いたことが無い…。
しかもロゴの形からして発動機の方じゃなく、楽器の方と思われます。ノベルティだったのか、何かの記念の贈呈品だったのか…??




右:シェービングマグ。元々は左側の様に本当にマグカップのような物だったそうです。やがてお湯を入れる槽が付き,次第に
お馴染みのスタイルになって行きました。
左:髭剃りに欠かせないシェービングブラシ。ブラシの毛はアナグマが良いとされています。アナグマとは狢(むじな)の事。
専用ソープも色々有って、下は数百円から上は数万円まで。最近の愛用はイギリス製のクリーム状のシェービングクリーム。欧米と違い、
剃刀による髭剃りがあまり行われない日本では、メーカーも見向きもしないので、拘るとやはり海外製品と言う事になってしまう。
通常どこでも手に入るようなムースタイプのものでは少々役不足かな…。




ちょっと変り種を。


西洋剃刀とT字剃刀の折衷?とも言えるRolls Razor(ロールス・レザー)の髭剃り「imperial No.2」
どう見ても髭剃りには見えない佇まい…です。元箱、取説、検品カード、ブレード紙ケース、シリアルカード付きの逸品。
ずっしりと重く、高級感があります。上級グレードには革ケース付きやトラベルボックス付きなどもあります。
ロールス・レザーはイギリスのメーカーで、1920年代後半から1950年代までこのモデルを生産していました。
この時代は様々なメーカーがユニークな髭剃りを作ってその性能を競い合った、まさに髭剃り黄金時代でした。
imperial No.2のブレードは西洋剃刀を部分的にカットしたような形状で、それをハンドルに取り付けて使用します。
直刃なので西洋剃刀同様砥ぎが必要な訳ですが、そこがこの剃刀のユニークと言うか、すごいところで、誰でも簡単に砥ぎが
出来るシステムをこのケースに内蔵しているのです。ケースにすべてが収納できますので、携帯にも便利で、実に実用的。
私も旅行などに持って出かけることがあります。



ケースの両面の蓋の内側が、それぞれ砥石と革砥になっています。例えば革砥を使用したい場合は、砥石が付いている方の蓋をはずし、
レバーにブレードをセット、どちらか一方に動かします(@)、レバーが終端まで行くと刃先が自動的にクルッと反転(A)今度は逆方向に
レバーを引きます。再び終端で刃先が反転する…レバーを反復させる動作を繰り返す事で砥ぎ出す事が出来る仕組み。しかも革砥側は後ろ向き、
砥石側は前向きに刃が進むように自動で切り替わります!さらに砥石への刃先の角度が固定されているので、手で砥ぐより効率的で失敗がない。
砥石を使う場合は、写真では外してある砥石側の蓋をはめて本体ごとひっくり返し、革砥側の蓋をはずして使用します。日頃は革砥で手入れし、
切れ味が著しく落ちてきたら砥石で砥いで革砥で仕上げをします。



左:ハンドルにブレードをセットして髭を剃る。危なくないようにガードが付いている。このガードは可動式で、砥ぎの際の
  反転動作で刃先が革砥や砥石に当る衝撃を緩和する役目がある。また、髭剃りの際適切な角度を保つのにも一役買っている。
  実際このガードが無かったら相当危険。剥き身の凶器そのもの…。
右:両面の革砥と砥石を外す。合理的且つ機能的。





こちらはウイルキンソン wilkinson empire E21(右)とバレー VALET AUTO STROP(左) どちらも1930年代の髭剃り。
共に英国製。ホルダー、替刃、革砥の全てが収納出来るようになっています。VALETのケースは今や貴重品のベークライト製。
wilkinson empireはE21以外にも数タイプあり、1952年まで製造が続いたモデル。このE21は1933年から1935年に
かけて製造されていた型。(VALETはTを発音せず、バレ又はバレーと言います)
wilkinson empireは、Wilkinson Swordと言う会社が製造していました。この会社は1772年創業で、その名が示す様に、もともと
刀剣の製造をしていた会社です。英国王室御用達で、確かトレードマークも王室の紋章を戴いてデザインされているはずです。


                                                  
髭剃り…というより何かの機械装置と言った佇まい…髭剃りにギアって…!
どちらもロールスレザーの様に刃を砥ぐ事が出来きます。その仕掛けが組み込まれている為、こんな作りになっています。
30cmほどの革砥がセットになっていて、ヘッド部分に通して本体ごと前後させると刃を砥げる仕組み。
その際ブレードが180度反転する為の機構なのです。
更にウイルキンソンは前部のローラーと刃の位置を調整でき、髭の濃さに合わせて剃り味を変えられます。この機能が実に有効!




wilkinson empireの取扱説明書。こんな感じでシャープニングします。




ブレード交換のポジション。
ウイルキンソンはロールスレザー同様、直刃のブレードタイプ、VALETは専用の片刃の替刃を使用します。(文字で抜いてある所に位置
合わせのピンが嵌りますので、基本的に専用品しか使えません。現在互換性があり簡単に入手できるのはフェザーの片刃のみ)




ジレットの両刃ホルダー。ジレット「アジャスタブル」通称「Fatboy」と呼ばれているモデルです。本来はAdjustableと
呼ばれるモデルです。1958年〜1961年の4年間のみ製造されたちょっと希少なモデルです。ジレットはT字型の安全剃刀を世界で
始めて製造販売したメーカーで、コレクターの人気も高いですね。その理由のひとつは製造年がある程度特定出来る点にあります。
ちなみにこのモデル、195とも呼ばれていて、当時1ドル95セントで売られていたのがその理由とか。
1960年は大卒初任給13100円 ドル為替359円台と言う事は、日本円で700円位ですか。初任給で換算すると現在の約1万円ですから、
それ程高級品と言う訳でもないんです。(ただし、輸入した場合は関税等がありますから、もうちょっと高額になったでしょうね)



何がAdjustableか?と言うと、軸首のダイアルで剃り味を変えられる様になっている事。髭の濃さや、長さなど様々な状況に
応じて9段階で調整する事ができます。裏面にはメーカー名とアルファベットと数字があります。
このアルファベットと数字で製造年と四半期が特定できます。F 2 とありますので、1960年4-6月製造と言う事になります。
(50年代以降はVから始まります。55年がAとなります。四半期毎に1〜4が割り振られます。)



こちらは両刃剃刀のホルダー。パーカー22Rと超定番フェザー「ポピュラー」
TTO(バタフライ式)と言う刃の交換システムを採用しています。その名の通り、ヘッドの替刃部分が羽のようにパカっと
開く様になっていて、素早く簡単に交換出来ます。(TTO→twist to openの略です。ハンドルの軸尻等を回すことによって
ヘッド部分をオープンさせます。)




こちらは両刃剃刀の刃を砥ぐ為の専用シャープナー。真中に刃をセットして、ハンドルを回すと、ドラムの
革砥が回転して刃を砥ぐ様になっており(しかもちゃんと斜めに!)刃自体もクルッと180度回転して両面を砥ぐ様になっています。
と、書いてしまえばそれだけですが、中々凝った作りになっており、よく考えてあります。
昔の人は両刃剃刀も使い捨てにせず、手入れをしながら大切に使っていたのです。頭が下がりますね…。




ところで…「髭をあたる」と言います。最近聞かなくなりましたけど…。
関東ではかつて「そる」を「する」と言っていたそうで、つまりは「髭をする」と言っていた。
で、梨→有りの実 スルメ→アタリメ 芦原→吉原 と同じように「する」は縁起が悪いと言う事で、「髭をあたる」
になったのだそうです。




私がこの様な剃刀での髭剃りに拘る理由は、単にオシャレとか、カッコいいと言うばかりではありません。
ころころと変わる最近の安全剃刀に嫌気が差してしまった。気に入ったホルダーが有っても使い続けられない…。
しかもホルダーと替刃のセットの方が、替刃セットより安く買えるこの不思議…。新しいの買って下さいなメーカーの主張が丸見え。
確かに物を売らなきゃ食っていけないのは判りますけどね。
電気剃刀も刃に寿命がある訳ですが、モーター、替刃などの消耗パーツを含めて何年使えるのやら…。仮にパーツはあっても修理代より
新品の方が安かったりする訳ですよ…。と、言う訳で昔ながらの剃刀が一番と思えるのです。
おまけに朝から緊張しますので目が覚めますよ! 油断すると容赦なくスパッといきますから…。





西洋剃刀での髭剃り

親父の話では、私の爺様も西洋剃刀で髭を剃っていたそうで、自然と西洋剃刀へ傾いた私にはその遺伝子が伝わっているのかも?
親父も若りし頃は、人に会いに行く時はきちんと髭ぐらい剃って行くもんだ!と諭されたそうです。
さて、今日、自宅でこんな髭剃りしていると、時代錯誤もいい所と馬鹿にされそうですが、海外では今でも盛んなようで、剃刀や
周辺の道具もよりどりみどり、本当にうらやましいですね… 日本では西洋剃刀はほぼ入手しがたく、好みのを選ぶ贅沢はありません。
また、鋭い刃物を使いますので、常に緊張というか集中力を求められますので、海外では「禅の境地だ」との評価もみられます。

よし挑戦してみよう!と思った方のために簡単なアドバイスを。

T字剃刀にてこずっている人は、まずT字剃刀できちんと剃れる様になりましょう。血だらけになって嫌になっちゃうと思います…

西洋剃刀
まずは剃刀を入手しましょう。新品が望ましいですが、オークションなどで状態の良い中古を狙うのもOKです。
剃刀は値が高ければ切れると言うものでもありません。かと言って安物は砥ぎにくかったり、切れが長持ちしなかったりするので、
そこそこのものを買いましょう。新品なら1万円位ですかね。オークションの場合は、砥がれて極端に減っている物や、刃が欠けている物
、錆が酷いものなどは、どんなに安くても手を出さない事です。評価や過去の出品物を見て専門的に出品している方から落札しましょう。
砥ぐ技術や入手の利便性を考えるなら、まずは替刃式の物から使ってみるのも良いと思います。
髭が濃い人は大型の剃刀の方が剃り易いと思います。またコンケーブの無い、ベタと呼ばれる物の方が良いとされています。
慣れないのに小さな剃刀でがんばっても皮膚を傷めるだけで、剃り上がる頃にはそれこそ血だらけになってしまいます!!

革砥
冒頭でも書きましたが、革砥は現在入手が困難です。ですが普段使いの革砥は簡単に自作できますので、それで代用するのがひとまず
良いかと思います。革砥の作り方は検索すればいくらでも出てきますのでここでは割愛します。
オークションなどで見かける安物や、クタクタになったものは役に立ちませんので注意してください。(革砥は消耗品です!)

砥石
切れ味を戻す為なら超仕上げ用の8000〜12000番あたりがひとつあれば用は足ります。天然である必要も無いと思います。
信用できるメーカーのものなら人口砥石でOKです。
きちんと革砥を扱えるようになれば、砥石にかけることは年に数回で事足ります。


各部の名称:「肩」には主に片肩、両肩、肩無しの3タイプがあります。先端の形状はスクエア、ラウンドが基本形状。ラウンドの方が
最初は扱い易いと思いますが、慣れてきて細かく剃ろうとすると、先端が鋭利なスクエアの方が有利かな。


西洋剃刀は新品時は切れない…?
新品の多くは最終仕上げしてありません。そのままでは髭を剃るにはちょっと物足りないはずです。(包丁やナイフしか知らなければ
十分鋭利に感じるでしょうけど)砥石や革砥を使って仕上げます。中古で砥ぎ済みとなっていても "剃刀として" 砥がれている物はほぼ
無いと思います。(砥いだのが自分でも使用している人なら、どの程度砥げば良いのか判りますが、そうでないと相当な切れ味と思って
砥いだつもりでも、「普通に」鋭い砥ぎ程度では髭は剃れません。砥ぎのレベルが違うのです。)
剃刀を砥げるお店が近くにあれば砥いでもらうのが良いでしょう。しかし、それではお金も掛かるし、不便です。長く付き合うのであれば砥ぎを覚えるのは必須と言えます。
切れ味の確認方法と言うか、目安としては、髪の毛のキューティクルが引っ掛るかどうかである程度判別できます。
刃と直角になるように髪の毛を刃先に乗せ、そっと引っ張ってみます。スーっと髪の毛が通る様ならNGです。キュっと引っ掛り、
プツっと切れればまずまず、髭剃りとして使用できます。または毛先側をもって、剃刀を静かに毛髪に振り下ろし、スパッと切れれば
申し分ないと思います。(なるべく細い毛の方がより鋭い砥ぎを確認できます。太い毛はそこそこの砥ぎでも切れますので…)
また、試し切りと思って紙などを切らない事です。剃刀の刃先はデリケートですのでせっかく砥いだ刃が台無しになります。


いずれも毛先側を持って行います。振り下ろして切る時は、毛髪をつまんだ先から毛根側を3〜4cmほど出して切ってみます。



髭剃りの流れ
基本的に西洋剃刀は他人の髭をそる道具であり、自分剃りには向いていません。というか、もともとその様に作られているのです。
その辺りをきちんと認識した上で事に当たりましょう!
髭の濃さにもよりますが、最初は全体を剃るのに1時間位は掛かると思います。なれない刃物で恐る々剃るし、とにかく手順が飲み込め
るまでは練習が必要です。慣れてくれば時間は短縮されますが、それでも深剃できちんと剃るには20分位は掛かります。
はじめから朝の忙しい時間にすべてを行うのは無理でしょうから、最初の内は部分的に剃ってみることをお勧めします。今日は右頬、
明日は左頬… 部分が上手く剃れる様になったら休日などの朝、時間を掛けて全体を剃って見るのがいいと思います。


洗顔
↓
蒸しタオルで髭の軟化
↓
ラザーリング(泡立て)
↓
順剃り
↓
逆剃り
↓
洗顔
↓
剃刀等の手入れ


髭剃り前に剃刀を革砥に掛けます。刃先はミクロン単位ですので空気に触れている限り、錆、腐食など目には見えないダメージを受け
ています。これをきちんと修整し磨き上げる事で本来の切れ味が戻るのです。

蒸しタオルは厚手のフェイスタオル等を水かお湯で絞り、電子レンジ500w・約1分で作れます。ポイントは絞りすぎない事。
少し水分を残すように絞ります。また、取り出しの際は火傷に注意してください!
この蒸しタオルをさっと広げて空気を通し、適温に冷ましてから顔面、あご、喉に十分当るように乗せ、最低2分程度その状態をキープしま
す。最初にあまり冷ましてしまうと意味がありませんので、適温を探ってください。

シェービングソープは本来カップで泡立てるのではなく、顔面をブラシでマッサージしつつ顔面で泡立てるのが良いのだそうです。
各自工夫して見てください!

順剃りは文字通り髭の伸びている方向へ刃を動かして剃る事をいいます。
西洋剃刀での髭剃りは、如何に皮膚を平にして髭を立たせるかに掛かっています。そのままの状態で何べん刃を滑らせても一向に髭は
剃れません。必ず空いている方の手で皮膚を引っ張りながら剃ります。更には舌を使ったりと、とにかく顔中を総動員して「剃れる環境」
を作ります。ではどこをどうすれば上手く剃れるのか? そこが問題! 研究してください!

逆剃りは髭剃りの極意?です。逆剃りなくして深剃無しです。これが出来る様にならないことには、髭剃りは完結しないと言っても
過言ではないでしょう。(逆剃りはしないに越した事は無いという方もいますが、髭が薄いならまだしも、濃い髭には必須テクニック
だと思います。ちなみに深剃の深剃?を根掘りと言うそうで、つるつるになるまで剃りあげます。)
いずれにしても逆剃りを如何に上手くこなすかで剃り上がりが大きく左右されますので、慣れるまで大変ですが習得しましょう!

順剃りも逆剃りも、自分の髭がどの方向に生えているのか良く観察してから行うと効果的になります。髭は単純に上から下に生えている
訳ではなく、結構部位によって横方向になっていたりして複雑です。イメージしているより相当斜めに生えてますしね。

剃り上がったら洗顔し、良くソープを落とし、冷水で毛穴を引き締めます。
アフターシェービングローションを適量塗っておく事をお勧めします。

剃刀はよく洗ってから十分に水分を切り、乾き易いところに置きます。濡れたままは錆の原因になります。また、ソープやクリームなど
が表面に残っていますので、セーム革などで元の輝きが戻るように拭き上げて下さい。
ブラシはソープを良く洗い流し、水分を良く切ってから毛が下向きになるようにスタンドなどにかけておきます。


☆髭剃りは紳士の嗜みと思って楽しんで行いましょう!!(でないと苦行になっちゃいますよ〜)


髭のそり方はYouTubeなどで見かけますので参考にして下さい。研ぎ方なども紹介されています。




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